フランチャイズ本部を見極める

フランチャイズ本部を見極める「6つの視点」とは

(一社)日本フランチャイズチェーン協会(JFA) の「 JFA フランチャイズチェーン統計調査(2019年度)」によると、日本のフランチャイズチェーン(本部)の数は1,324となっています。また、この調査で把握できていない本部も相当数存在するため、実際の数はもっと多いと考えられます。これだけの本部の中から一つを選ぶことは、加盟希望者にとって簡単な作業ではありません。

 

本部選びはなぜ困難なのか

フランチャイズ加盟者となって経営を成功させるには、さまざまな要件があります。なかでも「本部選び」は大きなウェイトを占める要素です。「良い」本部に加盟することができれば成功の確立が高くなりますが、「悪い」本部を選んでしまうと、最悪の場合、事業の失敗につながってしまいます。では、「良い」本部とはどんな本部なのでしょうか。これについては明確な答えがありません。加盟後の経営がうまくいくかどうかは、加盟者と本部の相性によっても大きく左右されるため、すべての加盟者にとって「良い」本部というものは存在しないのです。

また、ひとくちに「フランチャイズ本部」といっても、その内容は様々です。業種業態の違いはもとより、本部機能の中身にも多くのバリエーションがあり、たとえ同じ業種であっても、横並びで単純に比較することは困難です。加盟金ひとつとっても、 フランチャイズパッケージ に何が含まれているのか分からなければ、客観的な比較ができません。ブランド力、支援力、ビジネスモデルの優秀さなど、検討すべき論点が多岐にわたり、しかも複雑に絡み合っていることが本部選びを難しくしている要因のひとつです。

本部選びに役立つ「6つの視点」

本部を選ぶ際に検討すべき論点を、わかりやすく整理したものが、次に紹介する「6つの視点」です。

フランチャイズ本部評価

①本部経営姿勢

本部がどのような経営者(経営陣)のもとで、どのような経営理念を掲げ、FC事業をいかに展開しようとしているのか。その結果、本部として社会および自分に対し現時点でどのような印象を与えているのか。

②情報公開度

加盟希望者が不十分な理解や誤解に基づいて本部の評価や選択を行うことがないよう、経営実態をありのままにきちんと開示しているかどうか。

③店舗展開可能

加盟後、多店舗展開することが期待できるのかどうか。

④加盟店支援力

本部が加盟店の成功と発展に必要不可欠な支援機能を備えているかどうか。

⑤店舗収益性

加盟店の成功の可能性と成功の度合い。

⑥加盟店満足度

既存加盟店の満足度。

「6つの視点」を活用して本部を評価する方法

実際に本部を評価する場合は、「6つの視点」を活用して、本部の実力を定量化してみると良いでしょう。

フランチャイズ研究会では、「6つの視点」を18の「具体的評価項目」に細分化して、それぞれに定量化のための採点基準を設定しています。これによって、それぞれの項目を4段階で評価した「成績表」を作成することができます。
資料請求や説明会への参加などを経て最終的な加盟候補を3〜4社に絞ったら、この採点基準に従って本部を点数化すると、複数の候補を定量的/客観的に比較できるようになります。
また、採点結果からレーダーチャートを作成すると、それぞれの本部の特性がよりわかりやすくなります。

具体的な評価項目

6つの視点 具体的評価項目 採点例
①本部経営姿勢 チェーン理念 3
本部トップの資質(経歴、専門知識、人柄) 4
将来ビジョン、戦略 4
フランチャイズ契約書の預託 2
②情報公開度 ホームページの充実度 2
法廷開示書面による事前説明 4
③店舗展開可能性

立地タイプごとのプロトタイプモデル 4
商品力 3
商品開発力 4
④加盟店支援力 開業サポート、開業前研修 3
スーパーバイザー 4
不振店対策 1
マニュアルの充実度 2
⑤店舗収益性 モデル収支、営業利益率 4
投資回収期間 3
⑥加盟店満足度 加盟店会の有無 1
出店余地 4
複数店オーナー割合と契約更新率 2

※採点基準の詳しい内容については、書籍「フランチャイズ加盟ワークブック」のなかで紹介しています。

フランチャイズチェーン比較の例

Aチェーン Bチェーン Cチェーン
①本部経営姿勢 3.3 2.5 3.2
②情報公開度 3.0 2.0 3.5
③店舗展開可能性
3.7 3.7 2.6
④加盟店支援力
2.5 3.5 2.7
⑤店舗収益性
3.5 3.0 2.2
⑥加盟店満足度  2.3 3.5 3.0

最終決断

最終的にどの本部を選ぶのかは、主観的な判断になります。事前にしっかりと自己分析(法人加盟の場合は自社分析)を行い、「6つの視点」のなかで、自分が最も重視すべき項目はどれなのかを、認識しておくことが必要です。

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