フランチャイズチェーンとレギュラーチェーンの比較

フランチャイズ・チェーンとレギュラー・チェーンとの比較

スターバックス、ドトールコーヒー、タリーズは全てチェーン店ですが、スターバックスはレギュラー・チェーン(全て直営店)であり、ドトールとタリーズはフランチャイズ・チェーン展開をしています。店舗を一見しただけでは、フランチャイズ・チェーンなのかレギュラー・チェーンなのか見分けはつきません。また、レギュラー・チェーンもフランチャイズ・チェーンも管理運営機能・戦略策定機能を有する1つの本部と、販売機能を持つ複数の店舗から成っています。
レギュラー・チェーンと、フランチャイズ・チェーンの違いはどこにあるのでしょうか。

本部と各店舗の資本・経営主体のあり方

レギュラー・チェーンでは本部と各店舗は同一資本となりますが、フランチャイズ・チェーンでは、本部と各店舗の資本は別個のものです。
レギュラー・チェーンでは各店舗の経営主体は本部ですが、フランチャイズ・チェーンでは各加盟店が経営主体となります。

本部と各店舗の結びつきのあり方

レギュラー・チェーンでは、本部と加盟店は資本により結びついています。一方フランチャイズ・チェーンにおいては、本部と加盟店はフランチャイズ契約によって結びついています。
レギュラー・チェーンでは本部と店舗の関係は、チェーンが存在する限り永続的なものです。
フランチャイズ・チェーンでは、契約期間が満了し、契約更新が成されなければ、その時点で関係は無くなります。フランチャイズ・ビジネスは契約に基づいたビジネスです。

事業目的・経営理念

①目的

経営主体が異なるので、本部企業、各店舗それぞれの目的も変わってきます。
レギュラー・チェーンの目的は1つ、店舗も本社も本部利益の最大化です。
一方フランチャイズ・チェーンでは、店舗においては店舗オーナーの事業利益の最大化、そして本部においては、本部企業の利益最大化です。
つまりフランチャーズ・チェーンに於いては、レギュラー・チェーンとは異なり、本部企業と加盟店では目的が異なっているのです。目的が異なっているのにもかかわらず、事業を協力して行いつつ、それぞれが成功しようというのは易しくないものと思われます。

②経営理念の重要性

ここに、フランチャイズ・チェーンにおける経営理念の重要性が浮かび上がります。本部と加盟店が共有できるものが経営理念です。
経営理念はどの企業にも大切なものですが、フランチャイズ・チェーンにおいては特に大切です。フランチャイズ契約によって結びついた資本・目的の異なる複数の経営体が、1つの経営理念のもと集結し、互いの成功に向かって協力して進むための礎として重要となります。

店舗リーダー

①店舗リーダーの立場

資本・経営主体が異なるということは、店舗のリーダーの立場にも影響を与えます。レギュラー・チェーンでは、各店舗のリーダーは一般には店長という立場で、当該チェーン企業の社員であり、企業から給料を受け取るサラリーマンです。
一方、フランチャイズ・チェーンでは各店舗のリーダーは単なるリーダーではなく多くは店舗オーナーでもあり、本部企業とは異なる独立した事業を営む経営者です。

②店舗リーダーの目的

レギュラー・チェーンでの店舗リーダーは、その店舗の営業実績を上げることが大切な仕事です。そして、本社業績に貢献することが目的です。そしてその仕事の出来具合により、成果給を受けることができます。
一方フランチャイズ・チェーンでも、その店舗の営業実績を上げることが同様に大切です。しかし店舗リーダーは経営者なので、自らの事業業績の向上が目的です。本部業績ではありません。経営者であるので、より努力して収益を上げ、複数店舗展開することもできます。自分の努力がより如実に自身の収入に反映されることになります。

店舗運営

①本部の店舗への拘束力

一般にチェーン運営では、本部がチェーン全体の経営方針を決めます。ですからレギュラー・チェーンでも本部が各店舗の経営方針を決める権利を持ち、店舗への拘束力は絶対です。
一方フランチャイズ・チェーンは本部企業と各店舗は別の経営体ですので、少し異なってきます。本部企業で経営方針を決定し各店舗に通達すれば、通常はそのとおりに実行されるものですが、その方針に加盟店が納得できないこともあります。このような場合には、その方針が実行されない事態が起こる可能性があります。

②多数の小規模店舗の管理

チェーン店では本部が各店舗を管理する必要がありますが、レギュラー・チェーンでは、あまりに小規模な多数の店舗を管理するのは煩雑です。
フランチャイズ・チェーンは、一人の加盟者が多店舗展開すれば、各店舗は当該加盟者の管理下に入るので、小規模な店舗であっても本部の管理はそれほど煩雑にならずにすみます。

③地域への密着性

レギュラー・チェーンの店舗リーダーは、本部より派遣されているサラリーマンですので、必ずしも派遣された店舗の地域に詳しいとはいえません。
一方フランチャイズ・チェーンの場合、多くは加盟者の地元で出店するので、店舗リーダーが当該地域の諸事情に詳しく、このことは地域密着での事業展開に有利に働きます。

④ノウハウ盗用の危険性

店舗リーダーが経営者であるということは、事業成功に向けての意欲という面では大変心強いものがありますが、一方でリスクもあります。それは、本部企業のノウハウを盗用して、チェーンから離脱し、独自に事業を始めてしまうという危険性です。フランチャイズ・ビジネスは、ノウハウ使用の権利を付与することで成立しているので、これが盗用されてしまっては、その根幹が揺るがされることとなります。
レギュラー・チェーンであっても、店長はノウハウを知っているので、それを盗用して独立するという事態は考えられます。けれども日常活動を上席等がチェックすることも可能と考えられ、その可能性は、既に独立しているフランチャイズ・チェーンの加盟店よりは低いといえます。

人材活用

チェーン店ではパート・アルバイトの活用が一般的です。なぜなら、チェーン店では作業が標準化、単純化、専門化されているため、高度な知識や作業は必要無く、パート・アルバイトでも店舗運営が可能となっているからです。

①パート・アルバイト(P/A)の教育研修

雇用関係は、レギュラー・チェーンではパート・アルバイトは本部雇用となります。一方フランチャイズ・チェーンでは、各店舗経営者が雇用し、本部との雇用関係は生じません。
パート・アルバイトの研修は、レギュラー・チェーン、フランチャイズ・チェーンともに各店舗での実施が主体となります。特にフランチャイズ・チェーンでは、直接に雇用関係のある店舗での研修に重点がおかれる傾向が強いといえます。

②人材としての家族スタッフの影響

チェーン店ではパート・アルバイトの労働力に依存するケースが多いのですが、パート・アルバイトは一般に正社員より責任感が薄く、突然欠勤が起きることもあります。
このような場合、レギュラー・チェーンの店舗リーダーは一社員ですので、欠勤が出たからといって、むやみに自身の家族労働に依存することはできません。一方フランチャイズ・チェーンでは、店舗リーダーは経営者ですので、人材として家族を活用できます。このことは、店舗運営で大きな力になります。

店舗展開

①計画的な出店

レギュラー・チェーンでは計画的に、出店地域を決定し、立地選定を行い、市場占有率を高めていく方策が採られます。
一方フランチャイズ・チェーンは、加盟希望者があらわれた地域にしか出店できません。ですから、予め出店計画を作成しても、必ずしもその通りに進むとは限りません。

②事業の魅力度による制約

フランチャイズ・チェーンができるだけ計画的に出店するには、加盟したいと思われるような事業を開発する必要があります。取り組んでみたいと思われるような魅力的な事業、開業するのに資金があまりかからない開業しやすい事業、そして収益性が高く投資回収も早く、多店舗展開が比較的容易な事業等です。

③資金による制約

資金面から見ると、全ての店舗を自己資金で出店していくレギュラー・チェーンでは、一時に大量の出店を進めることは簡単とはいえません。一般には出店のスピードを早めることは難しいといえます。
一方フランチャイズ・チェーンは、本部企業が他人資本を活用して店舗展開を進めるので、大量出店をしても資金の面で困ることはあまりありません。それよりも、加盟店が増えれば加盟金等収入が得られるので、かえって有利です。
フランチャイズ・ビジネスのメリットの一つに、次のような事があります。即ち、斬新な新規市場を発見し事業を開始する際、自社は小資本であっても、他人資本を活用して短期に大量出店し、競争が激しくなる以前に高い市場占有率を獲得し、後発者との競争優位に立つ、というものです。ただしこれも、魅力的な事業あってのことといえます。加盟希望者がいなければ、フランチャイズ・チェーンは始まりません。

不振店対策

チェーン店で複数店を出店していくうちには、競合の出現等により立地環境が変化する等の要因で、不振店が生まれる可能性があります。
このとき、レギュラー・チェーンであれば、チェーン全体を見渡した意思決定がなされます。不要な店舗と判断すれば退店の意思決定をしたり、また戦略の観点から赤字店舗であっても営業を続けるという意思決定もあります。
一方フランチャイズ・チェーンでは、各店舗にはそれぞれ加盟店たる経営者がいるので、本部の大局的な見地からの意思決定は困難です。多店舗展開している加盟者であれば対策の取りようも考えられますが、1店舗しか経営していない加盟者の場合であれば、その店舗事業に加盟者の生活がかかっているということです。退店して欲しいとは言い難いですし、赤字営業を続けてくれるようにも言えません。本部としては、当該加盟店経営者が通常の生活を継続していかれるよう、全力で援助しなければなりません。

フランチャイズ・チェーンとレギュラー・チェーンとの比較まとめ

比較 レギュラー・チェーン フランチャイズ・チェーン
資本・経営主体 本部と店舗は同一 本部と店舗は別個
本部・店舗の結びつき 同一の資本 フランチャイズ契約
経営主体の目的 本部利益の最大化 本部・加盟店各の利益最大化
経営理念の重要性 大きい 特に大きい
店舗リーダー 店長でサラリーマン 事業主で経営者
店舗リーダーの目的 自店舗の業績アップ 自店舗の業績アップ・事業拡大
店舗リーダーの特質 本社から派遣 当該地域出身・在住が多い
本部の拘束力 大変強い 強くできない場合がある
P/Aの雇用形態 本社と雇用契約 加盟者と雇用契約
P/Aの教育研修 各店舗主体 各店舗主体で加盟者との関係大
出店地域・時期 本部が計画的に行う 加盟希望者に左右される
出店の制約 資金 事業の魅力度
ノウハウ流出の危険
不振店対策 店舗撤退・移転しやすい 店舗撤退・移転が困難

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