人材育成

フランチャイズビジネスで重要な人材育成『スタッフ一人ひとりの「性格(行動パターン)」を理解して部下育成力を高めよう!』

私たちが職場で使っている「性格」という言葉は、一般的に仕事をしている時に観察できる言動上の特徴=『行動パターン』の強弱度を指しています。この行動パターンは、親から受け継いだ「遺伝子」や生まれ育った幼少期の「環境」により人それぞれに違いがあります。スタッフを上手に育成するには自分自身とスタッフの「行動パターン」上の違いを理解し、自分と異なるスタッフへの関わり方や育成法を理解することが必要です。

2つの軸で知る「行動パターン」の強弱度とその違い

私は職場における「行動パターン」の『違い』を理解するひとつ手法として、日常業務の中で頻繁に発生するスタッフとの摩擦・衝突要因である「仕事への取組みスピード」と「働く上での価値ウェート(仕事・成果か人間関係か)」を基準にした捉え方を活用しています(図表参照)。

【図表】「行動パターン」別の関わり方と育成のポイント

資料出所:「スタッフの“やる気”を引き出す法則」著者:石川和夫、商業界

「成果重視型」は行動的でエネルギッシュ、自分の思うままに物事を進めることに価値を置き、リスクを恐れず、早いペースで目標達成のために突き進んでいくタイプ。常に現状に対して疑問を投げかけ、トラブルも進んで対処します。また、仕事の成果を数値で示すことを好み、「予約獲得キャンペーン」のように明確な目標と目標達成の評価(報酬)が明示されると燃えるタイプです。

「社交重視型」は自分から積極的に人に関わり、自発的で、エネルギッシュ、好奇心が旺盛で感情表現が豊か。信条は「とにかく楽しく仕事をすること」。人に意欲を与え、やる気を起こす環境を作ることに価値を置き、新しいアイデアを出したり、企画を立ち上げたりすることが得意で、チームのムードメーカーとしての存在価値が大きいタイプです。

「協力関係重視型」は自分が中心になって仕事を進めるよりも、他者をサポートすることに価値を感じるタイプ。仲間意識が強く、協力関係を何よりも重要視します。また、周囲のスタッフの気持ちにも敏感で常に気配りを忘れません。しかし、いつも自分の感情を押さえ込む傾向があるため、断り切れず、多くの業務を抱えてしまうこともあります。

「クオリティ重視型」は物事を客観的に捉えるのが得意で、多くの情報やデータを集め分析してから行動を起こすタイプ。また、大きな変化を望まず、小さな実績をこつこつと積み上げていくことに価値を感じます。職場ではルールや秩序を重要視して「正しさ」を確認する傾向があります。

この4つの「行動パターン」は仕事をしていく上で、いずれも必要とされるものです。しかし、自分の特に強い行動パターンを知らずについ使い過ぎてしまうと、それは『強み』でなく『弱み』に変わり、「指示しすぎ」「しゃべりすぎ」「同意しすぎ」「質問しすぎ」と他者から見られるので注意が必要です。

また、この「行動パターン」は、血液型のようにいずれかの型に当てはめることはしないでください。なぜなら、人は誰でも4つの行動パターンを持ち合わせていますが、仕事上に現れる行動パターンには強弱度が見られるのが一般的だからです。

自分の弱い行動パターンのスタッフへの理解と活用がポイント

例えば、コンビニとレストランの統括マネージャーしていた時の私は、「社交重視型」が最も強い傾向にありました。そして、ときどき「成果重視型」や「協力関係重視型」が現れるのですが、「クオリティ重視型」はほとんど持ち合わせていませんでした。そのため、「これは!」と思った新しい商品やサービスにはすぐに取り組み、売上アップに結びつく成果も多く出すことができました。しかし、客観的視点やリスクマネジメント能力は不足していたと思います。また、「クオリティ重視型」の強いスタッフを避けたり、積極的に育てようとしなかったりという傾向もありました。

当時、このような「行動パターン」や自分とスタッフの『違い』を知っていたら、私はマネージャーとして自分の判断をより客観視できたと同時に、自分があまり持ち合わせていない「行動パターン」の強いスタッフにも抵抗感無く接することができ、より多くのスタッフを上手に育成・戦力化できたと思います。

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