『第40回フランチャイズ・ショー2023』視察レポート
今年のフランチャイズ・ショーは、新型コロナ前の活気を思い出した感のある活況ぶりだった。以下では、来場者数や出展社数の推移や内訳から今年の特徴を分析し、今後のヒントも探ってみたい。
コンテンツ
1.来場者数・出展社数
【フランチャイズ・ショーの来場者数・出展社数】
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
開催日数 | 3日間 (3/6-3/8) |
<中止> | 4日間 (3/6-3/8) |
3日間 (3/6-3/8) |
3日間 (3/6-3/8) |
来場者数 (前回比) |
29,946人 (97.3%) |
- | 16,801人 (56.1%) |
17,831人 (106.1%) |
23,644人 (132.6%) |
出展社数 (前回比) |
215社 (93.5%) |
- | 154社 (71.6%) |
183社 (118.8%) |
219社 (119.7%) |
-(出典)フランチャイズ・ショーwebサイト、ガイドブックを参考に筆者作成
2023年のフランチャイズ・ショーの来場者数は、3日間で23,644人となり、前年対比3割の大幅増加となった。コロナ前の2019年と比較すると8割弱にまで回復してきている。
出展社数は、219社となり、前年対比2割増加した。コロナ前の2019年と比べても101.9%にまで増加しており、コロナ前を超えた。
【出展社数の内訳(単位:社)】
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
飲食業FC本部 | 49 | - | 42 | 54 | 58 |
〃ビジネスパートナー等 | 8 | - | 5 | 12 | 13 |
小売・サービスFC本部 | 91 | - | 64 | 73 | 78 |
〃ビジネスパートナー等 | 21 | - | 27 | 27 | 26 |
店舗DX,FC支援ビジネス | 10 | - | 7 | 7 | 8 |
インバウンド対応 | - | - | - | - | 2 |
コンサルティング、情報 | 10 | - | 8 | 9 | 11 |
海外関連・その他 | 26 | - | 1 | 1 | 23 |
合計 | 215 | - | 154 | 183 | 219 |
(出典)フランチャイズ・ショーwebサイト、ガイドブックを参考に筆者作成
飲食業のFC本部、ビジネスパートナー等(ビジネスパートナー募集・開業支援ビジネス)の合計は、57社(2019年)⇒47社(2021年)⇒66社(2022年)⇒71社(2023年)と推移した。今年はコロナ前を大きく上回る出展社数となった。
小売業・サービスのFC本部、ビジネスパートナー等(代理店・ビジネスパートナー募集)の合計は、112社(2019年)⇒91社(2021年)⇒100社(2022年)⇒104社(2023年)と推移した。
コロナ前の2019年は、海外関連が26社出展し、合計215社となっている。海外関連は、コロナ禍により渡航が制限され、出展社も1社にまで減少したが、最近になってようやく渡航制限がなくなり、出展社も増加に転じた。
海外関連除きでみると、189社(2019年)⇒153社(2021年)⇒182社(2022年)⇒196社(2023年)と推移しており、コロナ前を上回る出展社数となっている。特に、コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食業で、アフターコロナへの期待も高いと思われる。
2.業種別の動向
2-(1) 飲食業の動向
【飲食業出展社の業態別内訳(単位:社)】
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
飲食業合計 | 57 | - | 47 | 66 | 71 |
ラーメン | 6 | - | 4 | 7 | 9 |
コーヒーショップ | 5 | - | 3 | 7 | 6 |
焼肉 | 6 | - | 4 | 7 | 7 |
カレー | 1 | - | 2 | 2 | 5 |
焼鳥・居酒屋 | 3 | - | 2 | 3 | 3 |
パスタ | 1 | - | 3 | 3 | 3 |
スープ | 3 | ||||
パン | 3 | 2 | 3 | 2 | |
餃子・小籠包 | 1 | 2 | 2 | 2 | |
フードデリバリー | 1 | 1 | 2 | 2 | |
ハンバーガー | 1 | 2 | 1 | 2 | |
たい焼き | 1 | - | 1 | 1 | 2 |
うどん・そば | 3 | - | 1 | 2 | |
かつ丼 | 1 | 1 | 2 | ||
鍋 | 1 | 1 | 2 | ||
わらび餅 | 1 | 2 | |||
冷凍自販機・無人販売所 | 2 | ||||
ゴーストレストラン | 1 | 2 | 1 | ||
唐揚げ | 4 | 4 | |||
その他 | 24 | 14 | 19 | 14 |
(出典)フランチャイズ・ショーwebサイト、ガイドブックを参考に筆者作成
飲食業は、フランチャイズ本部、ビジネスパートナー募集、開業支援ビジネスの合計で、今年71チェーンの出展となった。前年対比+5チェーン、コロナ前の2019年と比較しても+14チェーンの増加でおる。新型コロナで、飲食業は大きなダメージを受けただけに、アフターコロナへの期待も高い。
業態別内訳をみると、国民食ともいえるラーメンやカレーで、出展チェーンが増加した。焼肉は、ダクトから煙が吸い込まれ、換気されていることからコロナ対策上も喜ばれ、焼肉好きが国民に多いこともあり、需要が増加し、出展チェーン数も増えた。
コロナによって、テイクアウト業態の需要が伸びた。唐揚げのテイクアウト販売が増え、コロナ禍の2021.2022年に唐揚げチェーンが4チェーン出展した。餃子など冷凍食品の無人販売、自販機販売が今年初出展している。フードデリバリー、ゴーストレストランも、巣ごもり需要を受け出展が続いている。
2-(2) 小売業・サービスの動向
【小売業・サービス出展社の業態別内訳(単位:社)】
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
小売業・サービス合計 | 112 | - | 91 | 100 | 104 |
フィットネス・ジム | 7 | - | 9 | 11 | 11 |
エステ・脱毛・まつエク | 5 | - | 5 | 5 | 7 |
マッサージ・整体 | 7 | - | 5 | 3 | 5 |
デイサービス | 4 | - | 3 | 1 | 5 |
障がい者就労支援事業 | 1 | - | - | 2 | 5 |
買取りビジネス | 2 | - | 2 | 3 | 3 |
ハウスクリーニング | 5 | - | 2 | 3 | 3 |
リユース | - | - | - | 4 | 3 |
ゴルフスクール | 1 | - | 2 | 1 | 3 |
学習塾 | 9 | - | 5 | 5 | 2 |
幼児教育 | 2 | - | 1 | 3 | 2 |
コインランドリー | 2 | - | 2 | 4 | 2 |
ヘアカラー | 2 | - | 2 | 2 | 2 |
スマホ修理 | 3 | - | 2 | 2 | 2 |
トランクルーム | 2 | - | 1 | 1 | 2 |
プログラミング教室 | - | - | 2 | 2 | 2 |
カプセルトイ | - | - | - | 1 | 2 |
カラオケボックス | - | - | 1 | 2 | 2 |
探偵社 | - | - | - | - | 2 |
放課後デイ・児童発達支援 | 1 | - | 1 | 2 | 1 |
レンタカー | 2 | - | 4 | 1 | 1 |
ペット関連 | 3 | - | 3 | 2 | 1 |
葬祭業 | 2 | - | 1 | 1 | 1 |
ホテル | 2 | - | - | - | 1 |
コンビニ | 4 | - | - | - | - |
複合カフェ | 2 | - | - | - | - |
その他 | 44 | - | 38 | 39 | 36 |
(出典)フランチャイズ・ショーwebサイト、ガイドブックを参考に筆者作成
小売業・サービスは、フランチャイズ本部、ビジネスパートナー募集、開業支援ビジネスの合計で、今年104チェーンの出展となった。前年対比+4チェーン、コロナ前の2019年と比較すると、▲8チェーンとなった。コロナ前の2019年と比べて出展者数の大きく減少した業種は、学習塾(▲7チェーン)、マッサージ・整体(▲2チェーン)、ハウスクリーニング(▲2チェーン)である。
学習塾は、コロナ前はフランチャイズ・ショーの会場内で目立っていた。出展社数が多いだけでなく、1チェーンで6コマの大きなブースで出展しているチェーンもあった。2021年、2022年はコロナ前に比べて学習塾の出展社が減ったものの、6コマの大きなブースで出展しているチェーンがあったため、会場内で学習塾の存在感はあった。ところがそのチェーンも出展しなかったことから、2023年は一気に影が薄くなった感がある。学習塾は競合激化が進み、積極的に教室数を伸ばしているチェーンが減少していることが、出展社数の減少につながっていると思われる。
2023年に目立っていた業態は、フィットネス・ジムやゴルフスクールだった。これまで室内に籠っていた反動で、外へ出てアクティブに活動したいという消費者ニーズをビジネスチャンスにつなげようという思いが垣間見れる。
3.今後について
これまで3年間、新型コロナで休業要請や、行動制限、ソーシャルディスタンス、酒類の提供禁止などかあり、営業活動が制約されていた。しかし、ゴールデンウィーク明けには、新型コロナウイルスの感染法上の分類が2類から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる予定であり、3月中旬からは、マスクの着用が個々人の判断に任されるようにもなった。来日する外国人観光客も徐々に回復しつつあり、出展各社はアフターコロナでの成長を期待している。
アフターコロナは、コロナ前の元に完全に戻るわけではない。テレワークの進展やオンライン会議、会食自粛など、お客様の行動パターンの変化は、アフターコロナでも一定程度残る。変化する顧客ニーズに対応できるチェーンかどうかが、今後のチェーン選びのポイントになると考えられる。