立地診断

まずはフランチャイズ加盟しようとする本部の立地基準を確認する

はじめまして、フランチャイズ&立地コンサルタントの西野公晴です。
私のコラムでは「フランチャイズに加盟してお店を出すということ」にまつわるトリビアを、いろいろな角度から取り上げていきたいと思います。
題して『立地を知って、よいお店を出して、リッチになろう!』

必ずしも1等地とは限らない立地基準

フランチャイズに加盟してお店をオープンしようとする場合、最初の難関は物件の探索です。本部からの紹介もありますが、加盟者自身が足(&あらゆる手)を使って探すことが原則です。しかし、物件が見つかり“さあ、これからは開店に向けてピッチをあげよう!”という時に本部から“待った”がかかり、「どうして??苦労して見つけたよい立地なのに・・・」ということがたびたび起こります。

本部はそのブランドが成功するための「立地基準」を持っています。本部が示すよい立地とは、必ずしも人通りの多い駅前1等地とは限りません。駅から少し離れた商店街出口付近の住宅街につながる1.5等地が最もふさわしい場合だってあります。かつて、マクドナルドの1等地戦略に追随することなく、裏通り2等地戦略で店を増やしていったモスバーガーの出店戦略は、このことを物語る代表事例です。

立地基準の読み取り方

下表は、各社のホームページ・資料から作成した立地基準です。丁寧に検索すれば誰でも見つけることのできるデータです。

①「プロント」(カフェ・バル業態)の場合

プロントの場合、8:00~18:00の10時間の店前通行量が10,000人に満たない立地は基準外、ということです。しかも、合計で10,000人以上だったとしても、朝の出勤時間帯である8:00~9:00に1,000人以上ないとダメ、ということです。このあたりが、まさに二毛作・三毛作業態を作り上げてきたプロント本部のノウハウ=成功の方程式ですね。

物件募集
出展エリア 都内主要駅
立地 オフィス繁華街/駅前・構内
物件規模 30~50坪(ビル1階)
間口 4.5m以上
店前通行量 8:00~18:00に10,000人以上かつ、8:00~9:00に1,000人以上
その他 設備:電灯49kVA・動力80Kw

②「ダイワコーポレーション」(コインランドリー業態)の場合

また、コインランドリーのダイワコーポレーションの場合は、立地タイプを「郊外型」と「都市型」に分けて基準を明確化しています。皆さんが開業されようとしている立地タイプに合致した立地基準を確認してください。

店舗選びのポイント
立地タイプ 郊外型ランドリー 都市型ランドリー
商圏人口 半径2㎞圏内に2万人 半径300m圏内に3,000人
駐車場 最低5台 徒歩・自転車が中心だが、あれば望ましい
道路条件 生活道路であること
視認性 十分な視認性が確保されていること

ちなみに、表中にある「商圏人口」については、誰でも簡単に必要な範囲のデータを集計することができます。総務省統計局ではWeb上でGIS(地理情報システム)の操作を可能にしています。
>地図で見る統計(jSTAT MAP) https://www.e-stat.go.jp/gis
>JSTAT MAP徹底活用 立地診断ガイドブック https://fcken.shopselect.net/items/19901848

③「ポポラマーマ」(パスタ業態)の場合

最後の事例は、生パスタのポポラマーマです。この表で特に注目していただきたいのは、物件の設備条件が細かく規定されていることです。特に飲食業態では重要になってきます。周辺人口などの「商圏条件」、道路状況などの「動線条件」と合わせて、物件そのものの「地点条件」の3次元で、見落としなく立地基準を整理してください。

エリア
首都圏 一都三県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)
国道16号線の内側
立地
駅前立地 1.出店形態:駅ロータリーに面したビルの1F or 2F、駅より徒歩2分位、2Fの場合は、専用階段が必要
2.出店面積:35~40坪、席数が60席以上確保できること
3.駅乗降客数:5万人/日以上
SC内立地 1.出店形態:基本的にはレストランゾーン、フードコートは検討中
2.出店面積:30~40坪、席数が60席以上確保できること、バックルーム、トイレが共用かどうかで変わる
3.相乗効果のある業態:シネマコンプレックス、フィットネス、スイミングスクール等
設備条件
ガス容量 80KW、口径32A、ガスレンジ使用の場合 +85.6KW
電気容量 電灯:35KW、ガスレンジ使用の場合-10KW
動力:25KW
給水容量 口径:25A
1ヵ月当りの使用水量:150立方メートル
排水 口径:100A
雑排水口径:75A
空調カロリー 250kcal/平方メートル
客席換気風量 給気:1440平方メートル/h
排気:1440平方メートル/h
厨房換気風量 給気:5256平方メートル/h
排気:5256平方メートル/h

立地基準=成功の方程式

フランチャイジーの皆さんは、物件探索に入る前には、加盟しようとする本部の「立地基準」を必ず確認してください。“よい立地”は本部(ブランド)によってすべて異なります。本部の持っている「出店成功の方程式」をきちんと理解して物件を探すことが、よいお店づくりの第一歩です!

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